第295章

「捕まえろ」

  野呂栞が真っ先に飛び出し、天瀬姫奈の両腕を押さえ込む。手錠を取り出すなり、手際よくカチャリと嵌めた。

  ——よし、確保!

  一同「……」

  野呂栞の正義感が、いま爆発していた。公務員になってから初めての“逮捕”だ。これまでは水原刃の捜査に付いて回って、雑用ばかりで退屈だった。

  今回は堂々と自分の手で捕まえた。その快感といったらない。

  連れて帰れば、手柄になるよね?

  昇進、昇給……あるかも。

  ふふっ。

  想像するほどに、胸の奥がじわりと甘くなる。

  天瀬姫奈はもがき、無垢と困惑を貼りつけた顔で言った。

「野呂さん、いったい何を…...

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